敏感肌の方が化粧品を選ぶ際の4か条(2)
敏感肌用の化粧品に関わって長いため、情報量が盛りだくさんの今回のネタ。
4か条なんてスッキリしたタイトルをつけたくせに、長々しい内容になっておりますので、ご了承ください。
そして、相変わらず、これ言っちゃっても大丈夫かな、という化粧品業界マル秘ネタのオンパレードとなっています(業界の人がいたら、騒がないようにお願いします)。
さて、敏感肌の方には、この辺に気をつけて化粧品を選んでほしいなあ、という、まあ、言ってしまえば私の独断と偏見に元ずく4か条。
こんな感じにまとめています。
その1:(特にアレルギー性の方は)成分が多くないものを選ぶ。
その2:製品の形状に注意する
その3:植物成分、エキス分の多いものを避ける。
その4:代表的な避けるべき成分を把握しておく
前回は、この中の「その1」をご紹介しました。
ちなみに前回の記事はこちら
今回は「その2」から
その2:製品の形状に注意する
いやはや、我ながらマニアックなツッコミを入れるなあ、と思いつつ、とりあえず書きます。
敏感肌の方が選ぶべき化粧品の形状について。洗顔料、化粧水・乳液、ジェル・クリーム、それぞれにオススメの形状があります。これは、主として防腐剤との関係性です。
「洗顔料」:固形がベターだが、これは処方と使い方にもよる。
クレンジングをされる女性の場合は、セットになっている洗顔料を選ぶのがベターなので、なかなか固形石鹸を洗顔料にするというのが難しいのですが、クレンジングをしないのだったら固形石鹸を選ぶのはアリかなと。
随分以前に、研究のエキスパートに、液体石鹸>クリーム状石鹸・粉末状石鹸>固形石鹸の順で肌が乾燥しやすくなるが、それはなぜか?と質問されたことがあります。
その方の曰く、答えは単純で「量を使いすぎるから」。
固形石鹸を1とすると、クリーム状は5~10、液体は10~20倍くらいの量を使用するのだそう。それで乾燥が進み、肌はどんどん無防備な状態になってしまうのだとか。
ということで、固形石鹸を丁寧に泡立てて使う洗顔を、乾燥肌と敏感肌の方にはお勧めしています。そしてよくすすぐこと!
なお、どうやっても「顔を洗うと乾燥して、痒くなる」「石鹸をはじめとする全ての洗顔料が染みる」という重傷な方もいらっしゃいます。
そういうときは、「石鹸を泡立てて、その泡を肌に押し付けるようにして、そのまま洗う」「ぬるま湯ですすぐだけにする」「柔らかいタオルを濡らして、軽く拭くだけにする」「洗わない」という洗顔(まあ、洗わない、という選択肢も入れていますが)の他に、「油分多目の乳液を多めに肌に乗せ、柔らかいティッシュで拭き取る」といった方法もあります。
私の知人は、アトピー既往のある方でしたが、洗い流すクレンジングがダメなときに、ビオデルマの拭き取りクレンジング化粧水を試したら、肌が荒れなかった、と言われていました。
何が肌に悪いか、良いかは、本当に個人差がありますので、色々試すのは良いのかも。ちなみに、この化粧水は、敏感肌の方の間での評価が高いので有名です。
「化粧水」:ディスペンサー型。
肌に潤いを与える化粧水という概念は、日本特有のもので、欧米にはありません。てな話をし始めると、また終わらなくなるので、置いといて。
化粧水には「振り出しタイプ」「ディスペンサータイプ」「スプレータイプ」「ガススプレータイプ」などの形状があります。
振り出しタイプというのは、キャップを開けて、逆さにして振ると出てくるタイプ。
昔ながらの化粧水に多いタイプです。SK2もこのタイプ。
ディスペンサー式というのは、ポンプ式とも言いますが、押すと一定量が出てくるタイプ。
現在は、このディスペンサーと振り出しタイプの2種類が主流です。
スプレータイプに2種類を書いたのは、どちらも化粧水が霧状になって出てくる「ミストタイプ」とも言いう形状ですが、押した分だけでるタイプと、中にガス(窒素など)が入っていて、押し続けるとミストが出続けるタイプ。
後者を便宜上「ガススプレータイプ」と呼んでいます。アベンヌウォーターのようなタイプが代表例ですね。
さて、長くなりましたが、ズバリ、敏感肌の方にオススメのタイプはディスペンサー型です。
振り出しタイプの場合、化粧品のボトルの口部分に直接手が触れたり、そこからホコリなどが入ることが可能です。
それによって各種バクテリアやカビなどが入り込み、中で繁殖する可能性があります。
そのため、少ししっかりした防腐系を組まないと、使用しているうちにカビが生えてしまったとか、腐敗して匂いがする、などといったことが起こる恐れがあるのです。
ディスペンサータイプは、この心配が少ないので、防腐系も少し弱目にします。
まあ、日本の大手メーカーでは、この辺りは厳しいので、どちらのタイプも同じ抗菌力を持った処方を組みますが、こと敏感肌用となると、防腐剤の量は極力減らすように作る方が良いということは、メーカーも認識済みです。
ですので、同じような内容であれば、振り出しタイプよりディスペンサータイプの方が、防腐剤は少なめと考えていただいて良いかと思うのです。
ちなみに、スプレータイプは、その形状の特性上、入れられる成分が非常に制限されます。
まあ、シンプルな処方が良い、とは言いますが、保湿系の成分の、あれもダメこれもダメ、これは入れてもいいけどほんのちょっぴり(全然効果ない程度)といった処方になってしまうことが多いので、そんなものを使う意味があるのか?と思うわけです。
「ジェル・クリーム」:チューブタイプかディスペンサータイプを。ジャータイプは避ける。
これは、前述のクリームと同じ理由です。特に、ジェル系の美容液をジャータイプ(いわゆるクリーム容器というやつ。
ジャムの瓶みたいなもの、というとわかりやすいでしょうか)に入れたものを、敏感肌の方ようとして販売されているのには、驚いてしまいます。
ジャータイプの代表的な形状はこんな感じ
ジャータイプは雑菌の混入が最もしやすい形状です。まあ、見ればわかります。
そこに、栄養たっぷりのジェルを入れ、菌が非常に繁殖しやすいPHで置けば、それはもう雑菌を培養してくださいと言わんばかりの状態です。
もちろん、そんな無防備な化粧品はありませんが、仮に防腐効果が弱かったりすると、カビが生えたり、腐敗したりします。
笑い話のように思われるかもしれませんが、世の中では頻繁に生じているのです。
さて、そんな製品の安定性を守るためにはどうするか。答えは簡単で、防腐剤を強めにしておくわけです。
この点に気を使っているメーカーは、ディスペンサータイプにするか、チューブを選択しがちです。
クリームの硬度が高いものは、ディスペンサーでは出ないので、チューブになりますが、残念なことにチューブにすると外観的に安っぽくなってしまうのが問題で、見た目のためにジャーを選択する会社も多いようです。
ちなみに、チューブタイプの場合は、化粧水と同様のことが生じます。これを防ぐために、バックレス機構といって、一度出したら中身を戻せないようにする仕組み(口のとこに弁がついている)のチューブもあります。
もう一つちなみに、チューブなのにディスペンサーがついているタイプの製品もありますが、これは要注意。ヘッドを押しても出なくなったら、迷わずチューブを切りましょう。5~10グラムくらいチューブ内に残量があります。ただ、衛生的に使用し、なるべく早く使い切るように。
とまあ、容器のことだけでも、こんなに長くなってしまいました。次回はその3へ続きます。
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