シャンプーの種類についての勝手に分類


シャンプーの処方は、実は意外にバリエーションが少ないものです。

というと、かなりびっくりされることが多いのですが、世の中のシャンプーを、私は大雑把に4種類くらいに分類しています。

と、書いたところで、そういえば、世の中の売れているシャンプーてどんなんだろうと思って、ちょっと調べてみましたら、ドラッグストアの売り上げ情報からまとめたデータがありました。

シャンプー 売上ランキング、割れてるなあ・・・、というのが正直な感想です。

上位20ブランドの購入個数構成比を全部足しても30%にしかなっていません。そもそも、トップのメリットですら4%ちょっと。

圧倒的な市場リーダーという製品は存在していないのが、現在の状況と言えるのではないでしょうか。実際、ブランド多いですしね。

さて、本題のシャンプーの分類の話を少し。細かい話をすると、また無限に長くなってしまうので、今回はさわりだけ。

私がいつもやっている、シャンプーの主構造からみる分類についてです。

私は、ヘアシャンプーを、だいたい4つのカテゴリーに分類します。

1)ラウリル硫酸塩、ラウレス硫酸塩系

2)アミノ酸系

3)石鹸系

4)その他の活性剤系

市場のシェアで行くと、私の感覚だと、1)が7~8割、2)2~3割、4)が1~2割くらい、3)はほとんどない、という感じかなと。最近は、ノンシリコン系シャンプーが台頭して2)が増えてきている感覚がありますが、基本的には1)が圧倒的です。

あ、あくまで私の感覚なので、正確な統計ではありませんのであしからず。

さっくり説明すると、1)の代表的な成分としては「ラウレス硫酸Na」「ラウリル硫酸Na」「ラウレス硫酸アンモニウム」など。

上記の20位までだと、ボタニストといち髪、スーパーマイルド以外は全てこのジャンルに入ります。

世間では、「サルフェート系」「硫酸系」と言って、敬遠される向きもありますが、安定性高く、泡立ち等も良いので、きちんと使えば、特に問題のある成分ではないと、私は思っています。

なにせ30年以上使われている成分ですしね。本当に悪い成分なのだったら、日本中、というか世界中がおかしなことになっていると思います。

ちなみに、ラウレスとラウリルは化学構造上の違いで、どちかというとラウレスの方が、マイルドな印象があります。

また、硫酸の後にくる物質が「Na(ナトリウム)」「アンモニウム」「トリエタノールアミン(これはめったにお目にかかりません)」などあるのですが、日本ではNaが主流ですが、米国ではアンモニウム塩が主流と聞いたことがあります。

水の硬度が高くても、比較的泡が細かくたつのがアンモニウム塩の特質だという説明を受けたことがあります。

P&Gの米国処方は、ほとんどこれなので、処方を見ていて、ナトリウム塩になっていると、ああ、日本向けに日本で開発したんだな、とか思ってしまいます(h&sとか)。

2)のアミノ酸系は、昔は「ココイルグルタミン酸Na」という成分しか無いといっていいくらいだったのですが、最近はバリエーションが豊かになってきました。

今でもこのグルタミン酸塩は多用されていますが、けっこう扱いずらい成分でもあるので、メインで使っているところはあまり多くない印象です。

アミノ酸系にはほかにも、サルコシン系、アラニン系などいろいろありますが、単体で使っていることは稀。

以前にお話しした、ボタニストも私はジャンル的にアミノ酸系に分類してしまいますが、その構造はかなり複雑です。

この成分も使用していますが、その他の成分もかなり多めに入っています。

こうした処方構成は、2010年代になって増えてきたように思います。ノンシリコン処方が台頭してきたころから、という印象ですね。

ちなみに、資生堂のスーパーマイルドは、グルタミン酸ではないアミノ酸ベース処方の代表選手。

アシルメチルタウリンという成分をメイン減量に使用している、かなりレアな処方です。AMTと言っていましたね、当時。

使用感は、他社とはものすごく違う感触で、差別化できていましたが、ちょっと泡が弱い印象がありました。

アミノ酸系の特徴は、なんといっても脱脂力が弱いこと。

最近の処方では、そうでもないのも増えているようですが、総じて弱めで、しっとり仕上がります。

また、コンディショナーとの組み合わせにもよりますが、乾かしたときにふんわり膨らむような仕上がりになることが多くて、猫っ毛で、髪がぺちゃんこになりやすい人には好評の様です。

欠点は、安定性が低く、防腐剤や酸化防止剤を大量に必要とすること、粘度が出にくいのでポリマーが多めに入ってしまうこと(このため、髪が膨らみやすくなる)、原料価格が高いこと、特殊なにおいがあること、などでしょうか。

あと、泡がもろい、というのも、最近の好みに合わないみたいで、その辺の改良のための工夫が処方を複雑にしているように思います。

3)の石鹸系は、ものすごくレアな製品です。この製品については、いずれきちんとお話ししたいと思いますが、ほかの製品とは、構造、特長、使い方など、すべてが異なります。

ただ、ヘアシャンプーが、現在のようなアニオン界面活性剤を使用するようになったのは、1950年ごろのことで、比較的新しいものです。

銭湯などに行くと、固形の石鹸で顔から頭まであらっているお爺さんとかを見かけることがありますが、昔はそうだったみたいです。

こちらも参考になります。まいどおなじみWikipedia

4)その他と言っているのは、細かくいろいろ分かれるからで、ノニオン系(アルキルグルコシドとか)、スルホコハク酸系オレフィンスルホン酸系(ジョンマスターに入っていて、大騒ぎになってましたね)、などなど。

それぞれに特徴ありますので、見つけたときにはお試しいただいて、自分の髪との相性を確認いただければと思いますが、この辺の製品は、総じて値段が高いのが一般的です。

全体に「低刺激」「やさしい」「しっとり」といったキーワードが使われます。オーガニック系の製品でも多く使われているように思いますね。

最近は、「脱サルフェート系」といった言葉があったりして、戸惑うばかり。そもそも化粧品は、「〇〇不使用」という宣言の元に売り上げを作るという傾向があり、過去にも「オイル不使用」「パラベン不使用」「アルコール不使用」「ノンシリコン」などいろいろありましたが、どれも科学的根拠のないものばかり。

もちろん、それらの成分に過剰反応する肌タイプ、髪質などはあるので、そういう方は気を付けていただきたいと思いますが、そもそも化粧品は、正しい使い方をしていれば、そんなに危険なことは起こらないもの。

コンディショナーを洗い流さないとか(嘘みたいですが、ほんとにあった美容法です)、そういう変なことをせず、自分にあったものを正しく使うというのが一番じゃないかなと、私は思います。

そうした選択をする際に、上記のような分類を知っていると、使う前に、だいたいの使用感を予想できるので、便利かなと思うのですが、最近は複雑な処方も多いので、外れることもしばしば・・・。

お役に立つとよいのですが・・・


アトピー アルコール アレルギー オイル ケア シャンプー スキンケア デメリット トラブル ニキビ バリア機能 ビタミンC マスク メリット 乾燥 乾燥肌 入浴 分類 刺激 化粧品 化粧品開発裏話 医薬部外品 対策 成分 技術者 敏感肌 皮脂 皮膚 石鹸 秘密 糖化 美容液 肌荒れ 血流 角質 角質層 誘導体 選び方 酸化 防腐剤 風呂