化粧品に配合するアルコール(エタノール)のメリットとデメリットのこと(2)


さて、前回の記事では、アルコールは、なぜ化粧品に入っているのか?

それは入れる理由があるからです。その理由について、入れるメリットという観点から書いてみました。

そういえば、手作り化粧品のレシピで、日本酒を使うというものがありましたが、これなんかも日本酒に含まれるアルコールの防腐効果や浸透性向上効果を狙っていると思われます。まあ、私自身は、個人的に手作り化粧品には賛成しかねるのですけど。

それはさておき
ここからが本題な訳ですが、現代日本では、化粧品中のアルコールは嫌われる傾向にあるように思います。特に敏感肌用のブランドでは顕著で、アルコールフリーを前面に押し出しているブランドも結構あります。

例えば、資生堂のdプログラム。
公式サイトの中で

・デリケート肌を考えた低刺激設計
・厳選された成分を使用
・無香料
・アルコール(エチルアルコール)無添加
・パラベン(防腐剤)無添加
・クリーン製法

を表示しています。

dプログラムとは - 敏感肌スキンケアNo1【公式】 dプログラム 資生堂

何度でも触れたくなる「なめらか美肌」。dプログラムは、敏感肌研究50年の末「美肌菌」に着目。さらに、厳選成分を使用するなど徹底した低刺激設計。何度でも触れたくな…

ううむ、ツッコミたい(クリーン製法ってなんだ!?)ところですが、ぐっとこらえて。

前回もお話しした通り、アルコールには様々なメリットがあり、刺激も濃度依存的という報告もあり、あまり気にしすぎる必要はないと思うのですが、要注意な事項として、知っておいていただきたいことがあります。それは、

一括りに「アルコールが肌に合わない」と言うが、大雑把に以下の3つのケースがあるということ。この辺を意識してアルコールを懸念する人には、ほとんどお目にかかったことがありません。しかし、これを間違えると、対応がかなり異なってしまうので非常に危険なのです。

3つとは以下のような分類です。

1)アルコールそのものの刺激
2)アルコールのアレルギー
3)アルコールと一緒に配合されている別の成分の影響

実は、前回の記事で、アルコールのメリットについてくどくど書いたのは、ここら辺の話を理解しやすくするためでした(なってるのか?)。
以下、少し詳しく説明します。

1)アルコールそのものの刺激

アルコール入りの製品を使用すると「ヒリヒリする」「チクチクする」「赤みが出る」という人がいます。かゆみが出る人も稀にいますが、これはどちらかというと他の理由かなと。これらを刺激として見ていきます。

と、その前に。
まず大前提として、刺激とアレルギーは全く異なるものだということをご理解ください。この件については、以前書いているので、こちらをお読みいただけるとありがたいです。今回ははしょります。

さて、刺激の場合、先に書いている通り「アルコールの濃度」がかなり大きく関わってきます。もちろん「処方の種類」「体質」も関わり、また皮膚の状態なども影響を受けるのですが、まずは、一番の要素である「濃度」から。

アルコール自体が刺激になるのは、ある程度以上の濃度で配合されている場合、という研究結果が、複数存在します。私は以前、資生堂の発表で見たことがありますが、もしかしたらレポートの形にはなっていないのかもしれません。

ややこしいのは、アルコールに反応しやすい人と、しにくい人がいて、低濃度でも反応してしまう人がいるということなのですが、それでもアレルギーの人とは濃度の桁が異なるので、あえて一括りでお話しします。

ちなみに、肌荒れの人が沁みて痛いというのも、今回は無視。

濃度に関していうと、個人差があるからと思いますが、一般に「配合してもアルコールの刺激が出にくい濃度」の上限は3~5%くらいと言われています。私が見た報告は5%となっていたのですが、5%だと結構アルコール感があり、やや刺激を感じる人が多い印象がありました。逆に3%以下だと、入っていてもわからない人が多い感じ。もちろん、アルコールに由来する刺激感などは、ほとんど生じません。

で、この辺からややこしい話なのですが、人はそれぞれなもので、アルコールに過敏に反応してしまう人というのが、確かにいらっしゃいます。肌の感覚の問題も大きいのですが、「極端な乾燥肌」「肌が薄い」「肌が荒れている」などの場合は、アルコールの刺激を感じやすく、ヒリヒリするといった話をよく聞きます。ですので、こうした肌状態の時は、エタノールが多めに入っていそうな製品は注意されることをお勧めします。

まあ、これらのケースでは、理由の3)が効いているかなとも思うのですが。

アルコールの濃度を知りたい場合は、メーカーに問い合わせるのが一番です。この際、過去にアルコールを多く含んだ製品で、痛みを感じたことがあるから、といったことをお伝えいただければ回答しやすくなります。稀に、他社の処方を探る目的で聞いてくる場合があり、濃度に関する質問には答えないのが原則なのですが、皮膚トラブル関連だと教えてくれることが多いです。

とはいえ、仮に5%とか入っているなら、成分表示の最初の3品目くらいに食い込むので、大体の予想はできます。化粧水の場合、水が一番最初ですが、BGやグリセリンなどと同じくらいの場所に入っていると、相当な濃度と予想できます。これも処方によるので、難しいところですが・・・。

アルコールの濃度が割と高めな処方として代表的なのは「拭き取りクレンジングシート」「汗拭きシート」「さっぱり系の化粧水」「デオドラント系のボディローション」「時短目的のシートマスク」と言ったところ。ヘアトニックや、昔のアフターシェーブローションなども、かなりアルコール度数高めです。

あと、日本国内では、アルコールを多く含むスキンケアは珍しくなってきましたが、海外の製品では結構多く使われています。特に、化粧水、美容液などでは多く、ヨーロッパ系の処方では、お酒に弱い人なら匂いを嗅いだだけで酔いそうになるような濃度のものも。このレベルになると、アルコールに過敏とかいう問題以前に、刺激を感じたりするので要注意です。

まあ、国内の製品では、まず滅多にお目にかかりませんけどね。
日本人は、西欧人に比べてアルコールの刺激を感じやすいという話を聞いたことがありますので、注意するに越したことはないかなと。
というところで、長くなったので、次回に続きます。アルコールなのにさらっとしない・・・

化粧品に配合するアルコール(エタノール)のメリットとデメリットのこと(3)

相変わらず短くならないこのブログ。教科書が作りたいのか?と友人にツッコミを入れられたりしておりますが、もちろんそんなつもりは毛頭ございません。 化粧品の裏側から…


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