化粧品に配合するアルコール(エタノール)のメリットとデメリットのこと(3)

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相変わらず短くならないこのブログ。教科書が作りたいのか?と友人にツッコミを入れられたりしておりますが、もちろんそんなつもりは毛頭ございません。

化粧品の裏側から、面白い小ネタをお伝えしたいなと思って書き始めると、理学部気質がむくむく出てきて、正確に伝えなければという不思議な使命感が芽生え、結果、誰に向けて書いているのかな専門的な話を書いてしまうという。

まあ、そんな感じなんで、適当に端折って読んでいただけると嬉しいです。

さて
アルコールのメリットとデメリットについて書いてきたわけですが、最初にメリットをお話しした後、前回からデメリットの話に入っています。というか、アルコールが入っていることによる、皮膚への悪影響の話です。

アルコールが入っている場合に皮膚に生じるトラブルとしては、大雑把に以下の3つに分類できます。

1)アルコールそのものの刺激
2)アルコールのアレルギー
3)アルコールと一緒に配合されている別の成分の影響

このうち、前回は1)についてお話ししています。今回は、2)から。

2)アルコールのアレルギー

本当は、アルコールアレルギーの仕組みについても触れたいところなのですが、ここでは省略します。実際にはアルコールはアレルギー物質ではありません。アレルギーはタンパク質に対して生じるものなので。なので、正確にはアレルギー様反応ということになりますが、便宜的にアルコールアレルギーとして書かせていただきます。

そもそもなんで区別しているかというと、刺激の場合は肌に対する感触の問題であり、ふき取ってしまえば快癒する場合が多いのに対し、アレルギーの場合は皮膚内に反応が生じているので、治るのに時間がかかるということ。

刺激の場合も、長く放置していると炎症状態になり、そこから「痒み」「赤み」へと発展する場合があるので、これらの区別が難しいのですが、一般的に濃度が高いと反応が出るのが刺激であり、濃度依存ではなく、ほんの少量でも反応するのがアレルギーという区別で問題はないと思います(医療従事者の方いたら、ざっくりしすぎてるとお叱りを受けるかもしれませんが・・・)。

前回の記事でご紹介した私の友人は、全くアルコールを受け付けない体質ですが、こうした体質の方が、一定の割合でいらっしゃいますが、こうした方では、アルコールアレルギー様の反応をする方が多いと聞きます。こうした方は、ほんの少量のアルコールにも反応してしまうので、とにかく入っていないことが重要。ほとんど残留せず、しかも洗い流してしまう固形石鹸ですら反応すると言われています。

ちなみにグリセリンという成分が、保湿成分として多用されていますが、ごく稀にグリセリンに反応する人がいます。実はグリセリンは多価アルコールといって、アルコールであることを示す化学構造上のOH基という構造を3つもっています。このため、肌になじみが良かったり、水を抱え込む性質があったりするのですが、どうも一部に、これに反応している人がいるらしいという話があります。そして、そのタイプはアルコールアレルギーの人が多いらしいと。

まあ、統計が取れるレベルでサンプルが無いので、現場の経験則からきている話で、私も数件しかお会いしたことがありません。ただ、こうした関連性は知っておいて損はないかなと思います。

なんせ、アレルギーの場合、トラブルが深刻だったり、完治に時間がかかることが一般的です。炎症系の反応の場合、それがメラニン増殖につながり、いわゆるシミを誘発してしまうこともあるので。

最近は、注射や点滴の前に、アルコール消毒してもいいかを聞かれるようになってきましたが、結構深刻な皮膚トラブルに発展する方がいらっしゃるからと聞きます。気になった場合は、医療機関に相談されることをお勧めします。

3)アルコールと一緒に配合されている別の成分の影響

本当は、この話をメインにしたかったのですが、とりあえず押さえておくべきかなと思うことをつらつら書いていたら、どえらいボリュームになってしまったという。

ええ、いつものことです。ていうか、これでもかなりざっくりしてるんだけどなああああああ。
と、相変わらずのサルでもできる反省はさておき

アルコールのメリット、という話でさらっと書きましたが、アルコールには、一緒に配合した成分を肌に浸透しやすくするという性質があります。この性質を利用して、有効成分を浸透させたいタイプの美容液などでは多用されていたものですが、最近は美容液も保湿とか肌のハリ感などを求められることが多く、処方も変化してきました。美白のものなんかは、アルコールある方が浸透しやすくて良いし、効き目も現れやすくて良いのに、と思うのですが。

しかし、有効成分の浸透が良くなるというのは、良いことばかりではなく、デメリットもあります。
通常の状態では刺激にならないものが、刺激になってしまうことがあるのです。

一番わかりやすいのは、メントールとの組み合わせ。メントールというと、ひんやりした感触を与えてくれる成分で、顔用だとアフターシェーブローションや、夏場用のローションなんかによく入っていますし、ヘアトニックには必須の成分かもしれません。よくアルコールと一緒に使用しますが、これはアルコールがメントールを溶かしやすくしてくれるからと、清涼感を増幅してくれるから。

ところが、この処方を「スースーしすぎる」と感じる方がいて、これが「ヒリヒリ感」へとつながります。清涼感が高まっていることもあるのですが、アルコールによってメントールが肌に浸透して、感触を高めているということもあるようです。

そのほか、防腐剤などもアルコールの存在によって浸透しやすくなり、反応が出やすくなるということがあります。私自身は、パラベン擁護派(そんな派閥かあるのか?)で、パラベンは正しく使えば少量で非常に効くし、安全性も少量なら問題ないと思っていますが、アルコールが入った処方だと、ちょっと注意が必要かなと思うわけです。まあ、パラベンも種類があるし、処方特性とか色々ネタはあるので、これもそのうち詳しく書くとして、今はとりあえず置いといて、アルコールの話。

なんでこんなことをくどくど書いているかというと、「私はアルコールに弱い」と思っている方が、実は他の成分に反応していた場合があるということを知っていただきたいのです。その成分が入っていても、通常の濃度では反応しない、つまり低濃度では反応しなかったものが、アルコールが入ることによって浸透性が高まり、反応するようになってしまった、というケースがあるのです。

そして、ここからが本題なのですが、この成分が「アレルギーになる物質だった場合」が最大の問題と、私は考えています。

アレルギーは、体内の免疫システムが、その成分を身体にとって害であると認識した際に生じます。例えば、花粉アレルギーなども、ある時から急になってしまったという人が多いかと思いますが(私もその一人)、これもある時、身体が花粉を排除すべき物質と認識したことから生じているわけです。

アレルギーが生じるのは特定のタンパク質を体の免疫システムが認識した場合です。
ちなみに、この認識したという工程を「感作(かんさ)」といい、アレルギーの元になった成分を「アレルゲン」と言います。

で、本題ですが、アレルゲンは通常はタンパク質なので、分子量が大きく、そのままの形で肌に浸透することは、まず滅多にありません。しかし、アルコールが入っていると、話は少し変わります。肌への浸透が良くなっているため、通常は入らないはずの成分が浸透してしまうことがあり得るのではないか。その成分が、アレルゲンになり得る成分(これを感作性物質と言います)だったら?
そんなことを考えてしまうと、ちょっと怖い話になってしまいます。

話は少し飛びますが、実は数年前から、ヨーロッパ圏では「メチルイソチアゾリノン」という防腐成分を、洗い流さない製品に配合することを禁止しています。この成分は、日本では一部のシャンプーでは使用されていますが、スキンケアで使用されている例は少ないと思います。

欧米では、かなりの頻度で使用されている防腐剤なのですが、近年になってこの成分にアレルギー反応を示す人が非常に多いことがわかりました。8%という報告が出ていますが、レポートによっては15%という数字もあり、驚愕の数字と言えます。

こうした成分が入っている化粧品に、アルコールが多く含まれていて、肌への浸透を助けていたりすると、被害は甚大になることが予想されますが、実際に欧米のスキンケアではアルコールの高含有している処方が多いもの。その影響は否定できないんじゃないかなと思っています。

実際には、浸透を助ける作用をアルコール配合で出すには、5%以上の配合は必須と言われています。処方による特性もあるので、一概には言えませんが、少なくとも1%以下ではほとんど効果ないと思われます。

何度も言うようですが、アルコールには様々な良い特性があり、その特性を活かし、より良い製品を作ることが可能です。しかし、このようなリスクもあると言うことは知っておく必要があると思います。

むやみに怖がって、アルコール全否定になるのはもったいないと思いますが、こうしたリスクがあることを知らずに化粧品を製造してしまっているメーカーが存在していることもまた事実。危険を避けるためには、自分に合わない成分をしっかり見極めることが大切ですが、これがなかなか難しい。
正しい知識を身につけることで身を守るしかないかなと思います。

なお、肌の状態が不安定だったり、肌が荒れているような時には、刺激やアレルギーのリスクが高くなると言うことは認識しておいていいかなと思います。ですので、そんな肌状態の時のために、安全な化粧品を1セット保管しておくことがお勧めです。

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とまあ、ここまでくどくど書いといてなんですが、私自身はアルコールが全く平気という頑丈鈍感肌。アルコール60%のローションを使ったことがありますが、ヒリヒリ感とか全くなく、ただ「酔いそう」と感想を述べて、研究の人に驚かれた経験があります。困ったもんです。

 


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