油(脂)の酸化について【1】


「油の酸化」という文言が目に付く気がします。

先日、クレンジングオイルの話を書くにあたって、ちょろちょろ調べたからかもしれません。

ちなみに、以前の時は皮脂を中心に話を進めたので、「脂」に統一していましたが、今回は原料の話が中心なので「油」で統一して書かせていただきます。

さて、油の酸化という現象は、実は非常に厄介です。

前述の通り、気にする人は多く、特に美容意識の強い人はいろいろ情報を集めて気にされる方が多いのですが、その理解はまちまちで結構間違っていることも多いようです。

この件、深堀すると、かなりめんどくさいので、どうしようか迷ったのですが、基礎知識として正しい知識(ここでいうのは科学的に、現在認められている基礎レベルとしての正しさ)を抑えておくのは重要かなと思いましたので、あまりマニアックにならない範囲で(できるかな・・・)、書いていきたいと思います。

油の酸化については

・油が酸化する条件とは?

・どの油が酸化するのか?

・酸化すると何が問題なのか?

・酸化された油によって引き起こされる問題とは?

なんてな感じで、まとめていきたいと思います。2回に分けるかもしれません。

大事な話ですが、暇なときにじっくり読んでくださるとうれしいです(内容はざっくりだけど)。

では、まずは化学のお勉強から。

・油が酸化する条件とは?

油の酸化は、化学的に言うと、構造中に二重結合があることが、一つの条件になっています。

油は、シリコン油及びエステル油以外(正確さを出すために言っていますが、特に知らなくても大丈夫な知識なんで、無視してください。しかもざっくりしてるし。)は、炭素(元素記号はC)によって構成されます。

例えば、安定性の良いスクワランは、C-C-C-C-・・・という風にCとCの間が一本の線であらわされています(ちなみにスクワランは分岐鎖を持つ飽和炭化水素油と表現できます)。

これが、不飽和を持つスクワレンになると、C-C=C-C-・・というように部分的に二重結合が入ります。

この二重結合の部分が酸化されてしまうのです。

化学式ではこんな感じ

ウィキペディア スクワランより抜粋

この二重に線が引かれているところが「酸化」されてしまう部分で、こういう構造を持っていると、不飽和油と言われます。

自然界にある油分には比較的多く含まれていますし、個人的な感想ですが、不飽和油の方が、肌あたりが柔らかく、馴染みもいい気がします。

代表的な不飽和油は、上記のスクワレンで、これは皮脂に含まれる成分。

スクワランは、これを安定化させた成分で、化粧品で一般に使用されるのはこちらです。

水素添加という手法で飽和油に変化させます。

ちなみに、スクワレンは本当に安定性が悪く、酸化されやすいため、化粧品の原料で使用することはなかったのですが、ちょっと前に「スクワランは天然のものではないので、皮脂や皮膚の構造を壊す可能性がある。

天然のスクワレンを配合したクリームなので、肌に良い」みたいな説明を見て、びっくりした記憶があります。

製品原料としての販売してること自体が驚きですが、どうも鮫肝油そのものとしての販売に近い感じ。

正直、まったくお勧めできません。

とまあ、話がそれたところで、不飽和油にはどんなものがあるか、というところに行きましょう。

ということで

・どの油が酸化するのか?

という話です。

ここがまたややこしいのですが、一般に「油」というのは、水に溶けない、「油状のもの」をすべて「油」と認識します。

なんだか、哲学の命題みたいになってきましたが、例えば、オレイン酸なんかは、脂肪酸ですが、「油」として認識されています。

このオレイン酸は不飽和脂肪酸と言われ、2重結合をもっています。

皮脂の成分にも多く含まれる成分ですが、やはり酸化されやすく、変質しやすい油として知られています。

ちなみに、不飽和脂肪酸に関するものすごい詳しい説明がウィキにありました。

オレイン酸は、不飽和脂肪酸群にあっては、比較的変質しにくいほうに属するようですが、やはり不安定であることは事実。

実際、ニキビができやすい人は、オレイン酸のような不飽和脂肪酸がニキビ菌のえさになってしまうことが知られていて、避けるように指導されることが多いものです。

化粧品成分として、割と目にしやすいのは、このオレイン酸でしょう。

また、脂肪酸ではリノレン酸なども目にしやすい成分です。これらは、植物油に多く含まれているので、例えばオリーブ油やココナッツ油などにはよく含まれています。

なので、これらを使用される方は、酸化には注意が必要。まれに、日焼け防止にバージンオリーブオイルがよいという記述があって、その内容を見ると、オレイン酸の二重結合が紫外線を吸収するから、という説明になっていて、驚いた記憶があります。

もう、どっから突っ込んでいいかわからないくらいの内容ですが、二重結合が紫外線を吸収するというところだけ妙に正確だったりして。

これまた全くおススメできない美容法です。

こうした天然油で、不飽和脂肪酸を多く含むものは、肌あたりが柔らかく、馴染みがいいという特徴があります。

ですので、夜の美容オイルなんかには最適ですし、クレンジングとか、いろいろ使えて便利な製品ではあるのですけどね。

不飽和が無いと、なんだか固い触感になる印象があります。

逆に、スクワランや鉱物油、ワセリンなどは2重結合をもたないので、安定性が高いことが知られています。

同じことが、ホホバ油などにも言えます。個人的な感触ですが、飽和油系の液状油は、全体にさらっとした感触があります。

あまりべたつきとか無いので、オイルを使用しているという感覚も少ないかも。

ただ、前述の通り、ちょっと「固い」感触を感じてしまうのですけどね。このあたりは、人によるのかもしれません。

・酸化すると何が問題なのか?

・酸化された油によって引き起こされる問題とは?

ちょっと長くなってきたので、続きます。

#油の酸


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