ビタミンB誘導体という成分のこと


レチノール(ビタミンA)から、ビタミンC誘導体ときて、ビタミンEのことを書いたので、そのほかのビタミンの話を、と思いながら、ふと、そういえばビタミンB誘導体って成分があったなあ、と、メーカーのサイトから、辿って行ったところ、たいそう残念な結果を発見してしまったので、今回はそのことを。

たいそう残念というのは、今回ご紹介するビタミンB誘導体という成分のこと。まあ、ビタミンBそのものにも様々な美肌効果があって、いろいろお勧めなのですが、どちらかというとこれは飲む方でお勧めしたいかなと。このあたりは、また別途お話しするとして、今回はメンズの美容ということの枠からちょいと出て、一般的な美容としてのビタミンB誘導体の一つ「トリスヘキシルデカン酸ピリドキシン」という成分のお話です。

この成分は、ビタミンB6の誘導体として作られた成分です。ビタミンB6(ピリドキシン)は様々な生理活性があり、ニキビや肌荒れ、口内炎の薬として使われている成分ですが、昔からその肌への作用は知られていました。特に表皮の正常化に効果があるとされています。

ところが、この成分、なかなかに不安定で、化粧品としては使いにくいうえ、水溶性なので浸透しにくいという欠点がありました。そこで、これの安定化を図り、さらに油溶性にするという二つの特徴を追加したのがこの成分です。

このあたりは、化粧品開発の処方組をする人向けの話ですが、肌に興味がある人には、知っておいてほしい情報としての話がここから。

実は、皮膚の乾燥とか老化とかの研究分野で、ちょっと前までがぜん注目され、近年では、しらなかったら化粧品や皮膚関連の研究者としてはモグリだろ、というレベルに達しているフィラグリンという成分があります(この業界に、モグリがどれだけいることか・・)。

これは、肌の中の成分ですが、皮膚の保湿にかかわる重大な要素の一つであるNMFという成分の(この話も、いずれまた詳しく)原料となる成分で、例えばアトピー性皮膚炎で肌が乾燥しやすい人は、このフィラグリンを作る遺伝子が欠乏している割合が高いとか、乾燥しやすい肌の人ではフィラグリンが別の形になっていてNMFにならないとか、いろんな研究結果が次々に出てきていて、キーファクターの一つとして注目されています。

で、この「トリスヘキシルデカン酸ピリドキシン」は、研究結果を見ると、表皮細胞におけるフィラグリンの産生量を増加させるという結果が出ているのです。繰り返しになってしまいますが、表皮の保湿機能は、アミノ酸などの天然保湿因子(NMF)によって保たれています。

フィラグリンはそのアミノ酸の前駆体、つまり原料の一つなので、その産生量が増加すると、皮膚本来がもつ保湿機能が強化されると考えられるわけです。もちろん、薬事法の観点から、こんな話は化粧品としては絶対にできません。これはあくまで、原料レベルの話です。

原料メーカーさんのわかりやすい説明(あくまで原料レベルでのイメージ)

さてここからが本題です(前置きが長い)。
なんで、最初に残念と言ったか。
こんだけ良い結果を出し、メカニズムも優れた成分なのに、使ってるメーカーが少ない!!

まあ、原料代が高いのもあるし、薬事的に保湿力が上がりますとも言えないし、ビタミンBが入っています、では売りにならないし、といろんな理由はあると思いますが、それでも、乾燥肌対策をしたいなら、このあたりの成分はマストじゃないのか?と思うわけです。(あくまで個人の感想です)。

今回、これを書くにあたって、いろいろ調べましたが、国内で私が発見できたのは、10社足らず。例えば、こんな製品でした。

佐藤製薬 エクセルーラ


エクセルーラは、肌の潜在能力を細胞レベルから研究し、佐藤製薬が開発したスキンケアシリーズです。

さすが、製薬会社だから?佐藤製薬のエクセルーラはドラッグストアで、一目置かれる製品として、話は聞いていましたが、いまいち地味だなという印象でした(佐藤製薬さんすみません)。でも、これを採用しているという点で、ポイントが急上昇。オーソドックスな感触の化粧水なので、むしろ使いやすくて好感度。

アンチエイジングとか、いろいろいろいろスキンケアはありますが、こうした中身のしっかりした化粧水は、一本キープしておくに限ります。しかし、このビタミンB誘導体。個人的にはだいぶ押しなんだけど。もうちょっとメジャーになってもよさそうなものを。


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