悩んでいる人が非常に多い「マスクによる肌トラブル」対策(2)
もうしばらくは、マスクとの付き合いが続くと思われ、それに伴い肌トラブルも常態化しそうな現状。
そんな中で、多く聞かれる
1)ニキビ
2)かゆみ・黒ずみ
3)乾燥、ガサガサなど
の3つの問題について、それぞれ対応するつもりで、さらっと書く予定だった今回。安定のダラダラですが、もうちょっとお付き合いいただけると嬉しいです。
前回は、ニキビについて書かせていただいたのですが、今回はより大人のお悩みです。
2)かゆみ、黒ずみ
これも色々原因はありますが、一つ大きいのが皮膚摩擦によるもの。
かゆみはともかく、黒ずみと摩擦の関係性についてはご存知ない方が多いのですが、ナイロンタオル黒皮症というものがあり、肌への刺激と皮膚への色素沈着については問題視されています。
ちなみに「ナイロンタオル黒皮症」というのは、ナイロンタオルでゴシゴシこすっていた人が、部分的に色素沈着を起こしていたという現象のこと。
物理刺激によってメラニン生成が促進される現象として話題になりました。
肌の黒ずみやシミなどの元になるメラニンを作るメカニズムには、いくつかの段階があるのですが、最初の段階で、メラニン生成を行うメラノソームという細胞に「メラニンを作れ」という刺激を出すという段階があります。
これについて最初に報告したのは花王だったかと思いますが、その後資生堂をはじめ、いくつかの研究が複数の物質について報告しています。
その中で、α-MSHという物質があるのですが、これが物理的な刺激で生み出され、メラニン生成を指示してしまうという現象があります。
割と知られていることに、アトピー性皮膚炎の人の皮膚に、こうした色素沈着が見られることがありますが、これも皮膚を掻いてしまうことから生じていると言われています。
最近では、乾燥からくる微小炎症も原因と言われていますが、どちらにしても弱い刺激を与え続けることが、皮膚の黒ずみに繋がるという事実は同じ。
マスクの刺激は微小なものですが、積み重なることでメラニン生成を招いてしまうようです。
かゆみも結局は炎症系の伝達物質が出ることで生じているので、摩擦刺激の影響も大きいのですが、これには乾燥から来るものも大きいかなと思います。
マスクの中は高湿度ですが、つけたり外したりする際に、湿度が急激に変化すると、かえって皮膚内は乾燥状態になってしまいます。
この場合、皮膚のバリア機能は低下し、かゆみの元となる刺激物質の侵入を許してしまうことで、かゆみが生じます。
これの対策としてオススメしたいのは以下の2つ。
1.バリア機能を高める
2.抗炎症作用の高い製品を使う
3.刺激の少ないマスクを使う
それぞれ簡単にまとめるとこんな感じ
1.バリア機能を高める
バリア機能については様々な製品がでていて、上記WWDで紹介されているコーセーのヒルドイドはアリかと思います。
コーセーマルホファーマ「カルテ ヒルドイド モイスチュア クリーム」(40gもありますが、容量的には100gの方がだいぶお得)
【Carte(カルテ)】ヒルドイド モイスチュア インストール 100g 高保湿オールインワン
高保湿オールインワンゲル(カルテHD モイスチュア インストール)|Carte (カルテ)
Carté(カルテ)は、コーセーとマルホの技術と価値を融合してつくられた、高保湿スキンケアです。一人ひとりの肌の症状や悩みに寄りそい予防、デイリーケアまでを一…
ヘパリン系は、そのままだと結構べたつきますが、クリーム形状になっているので、その辺りも考慮されているだろうと思います。コーセーさんだし、大丈夫かなと。
その他、バリア機能についての研究を山ほどやってる資生堂のdプログラムや、乾燥性敏感肌を提言する花王キュレルあたりも有効かと思います。
ポーラのディセンシアも最近人気ですし、このあたりは探してみると結構あります。
資生堂の老舗敏感肌用スキンケア。最近は、色々なバージョンが出ていて、ブランド発足当時から見ている私としては、なかなか感慨深いものがあります(迷走していた時期も長かったし・・)
バイタルソリューションはかなり盛り盛りな内容で、オールマイティ感高い感じ。アレルバリアは花粉症対策ですが、化粧水にプラスという考え方なら、使いやすいんじゃないかなと。
資生堂d プログラム パワーバイタルソリューション
資生堂 dプログラム アレルバリア ミスト 敏感肌用化粧水(57ml)
乾燥性敏感肌を標榜するキュレルはバリアケアの老舗という風格ですね。ただ、合わない人もいるようなので、その点だけご注意を。
キュレル 潤浸保湿フェイスクリーム(40g)
キュレル 潤浸保湿 フェイスクリーム | 花王公式通販 【My Kao Mall】
商品の成分・使い方・ご注意点・よくあるご質問もご紹介。 潤い成分配合で、角層まで深く潤う。肌荒れを防ぎ、ふっくらと潤いに満ちた肌に保つ。(医薬部外品)
バリア機能、というだけであれば、ワセリンを直接使用するという方法もあります。ベタつきありますし、テカリが出るという難点がありますが、皮膚保護機能は最高に高い上、何より値段が安い。感触などを気にされない方なら、選択肢として持っておくのはアリかと思います。
ワセリンには様々なグレードがありますが、精製度が高いことで知られているのが「サンホワイト」。薬局仕様だと、もっと安いのですが、容量が多くて使いきれない上、デカいジャー容器で使いにくいので、オススメはこの辺。
サンホワイト シルキー Y-1(80g)
サンホワイトシルキーY-1|製品情報|サンホワイト / ワセリン商品情報
サンホワイトは高品質のワセリンです。乾燥性敏感肌の保湿やスキンケアーとしてご利用ください。皮膚にやさしく低刺激性です。
ワセリンといえば、ヴァセリンもかなり使いやすいのですが、容量がいっぱいあるので、まずは小さいサイズからで良いかなと。なお、ボディローションなど、バリエーションが多くありますが、純粋にワセリンだけなのは、これで、あとは乳化型だったりします。それはそれで使いやすくて良いですが、基本は押さえておきたいかなと。
ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー(40g)
乾燥はともかく、黒ずみ(メラニン色素生成)にバリア機能がなぜ必要かという話ですが、結局、肌を守る機能が低下すると、皮膚に刺激が生じ、これがメラニン生成を必要以上に招くというメカニズムがあるので、やっぱりバリア機能はとても大事なわけです。
2.抗炎症作用の高い製品を使う
抗炎症性というのは、ちょっとわかりにくい表現ですが、要するに肌荒れ防止成分が入っているものを使用するという選択です。
具体的にはトラネキサム酸やグリチルリチン酸など。グリチルリチン酸には、油溶性のグリチルレチン酸ステアリルという形状もあります。
オススメは、美白効果もあるトラネキサム酸です。特に、前述のα-MSHを抑制する作用があると言われていて、黒ずみ対策にはもってこい。化粧品では、美白の主剤になっていて、安いものでは2,000円以下で手に入ります。
ちなみに、裏話ですが、トラネキサム酸だけでいうと、値段が高い化粧品も安い化粧品も、トラネキサム酸が主剤であれば、その配合濃度は同じです。
これは日本の医薬部外品の規則の抜け穴というか、欠点で、濃度を高くも低くもできません。資生堂のHakuのように、複数の主剤を組み合わせている場合は別ですが、単体の場合はほとんど同じ濃度なので、あとは感触と予算で選んで良いかと思います。
私がオススメするのは、資生堂のアクアレーベル ホワイトケア。
トラネキサム酸の美白への適用については、非常に経験の深いブランドですし、なんたってお値段手頃で入手しやすい。
化粧水も良いですが、これから乾燥する時期に入ってくることもあり、できれば乳液がオススメです。
アクアレーベルホワイトケアミルク。このスペックでこの容量でこの値段とか、マジで勘弁してほしい(開発担当の本音)
アクアレーベル ホワイトケア ミルク 本体 130ml 乳液
こちらが本家資生堂のメイン美白で、複数の美白成分とその他の有効成分をてんこ盛りにした処方。
でも、こちらも主剤の一つはトラネキサム酸です。本気で美白したいならこちらを。効果が出るまでやや時間がかかることありという難点がありますが・・
資生堂 HAKU メラノフォーカス
第一三共のトランシーノはトラネキサム酸の錠剤として一般に販売されている数少ない医薬品。経口摂取の場合、日本ではトラネキサム酸は医薬品になるため、サプリメントには存在しません。そのため、病院で処方してもらうか、こうした一般医薬品を買うしかないのが残念です。もっと手軽になればいいのに。
トラネキサム酸錠剤で気軽に買えるトランシーノ。
某美容皮膚科の担当者に聞いた話ですが、レーザーなどでシミ取りをした後にトラネキサム酸を飲むと、効果の持続性が全然違うとのこと。抗炎症って大事。
【第1類医薬品】第一三共ヘルスケア トランシーノII(240錠)
第一三共ヘルスケア トランシーノ 薬用ホワイトニングクリアローションEX(150ml)
トラネキサム酸は刺激がほぼなく、美白以外にも様々な効果を持っている非常に有用性の高い成分なのですが、唯一の問題点は作用が非常に遅いこと。
メラニン生成の第一段階を抑えるだけで、できてしまったメラニンへの作用はほぼなく、その効果も比較的緩やか。だからこそ安全ということなのですが、即効性が欲しい女性たちには満足度が低いと言われています。勿体無い・・・。
トラネキサム酸を取り入れる方は、ぜひ気長なケアを心がけていただきたいと思います。
あと、経口摂取する場合は、やはり医薬品ですので、日頃から飲んでいる薬があったり、何らかの治療中の方は、必ず医師に相談するように気をつけてください。
これは、医薬品に限らず、サプリメントでも共通の注意点ですので、お忘れなく。
マスク選びの話もしたかったんですが、長くなりすぎちゃったんで、次回に回します。すでに長い・・・
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