防腐剤・抗菌剤の怖い話:「メチルクロロイソチアゾリノン」という成分のこと


今回、この話は書くのを迷っていたのですが、あまり周知されていないようですし、重要な話なので、書かせていただきます。

今回お話するのは「メチルイソチアゾリノン・メチルクロロイソチアゾリノン」という成分のことです。

この成分は防腐剤として広く使われている成分で、日本ではかなり厳しく規制されていますが、アメリカなどではスキンキアでも使用されているようで、かなり一般的です。

ヨーロッパでもかつては使用されていましたが、現在は日本以上に厳しく規制されています。

この成分は、90年代の初め頃に日本では認可が降りて使えるようになりました。

化粧品の有識者の間では、危険だという認識があり、かなり抵抗があったようですが、政治的な圧力があったという噂もあるほどに(当時、複数のご意見番から聞かされたことがあります。裏は取ってないので、わかりませんが・・)、なんだか知らない間に認可されていたように記憶しています。

この成分の最大の特徴は、ごくごく少量で微生物にもカビにも効果があるという点。

また、水に溶けやすいというのも喜ばれました。私も検討したことがありますが、試算してみるとパラベンなどを使用するよりもキロ単価で20円くらい安くなったのを覚えています。

安いシャンプーなどでは、このキロ20円は、結構効いてくるのです。

その後、化粧品の法規制が大きく変わり、規制も少し緩くなったりして、以前は海外の大手かアジアの謎のブランドくらいしか見かけなかったものが、だんだんと国内でも使用実績が出てくるようになってきました。

私自身は、これ大丈夫なのかなあ、と、ちょっと気にしていたのですが、どうやらダメだったらしく、ここ5年くらいで、次々にトラブル報告が上がっています。

特に、ヨーロッパでの報告が凄まじく、洗い流しでない製品(ハンドクリームなど)を長く使っていた人などに、10%から20%くらいの割合でアレルギーが認められた、なんていう報告も出たりして、特に欧州ではかなりピリピリしています。

2014年くらいに、それまでの規制を見直して、かなり厳しい規制をすることが決定されているほどです。

これ以降、欧州では洗い流さない(化粧品業界ではこれを「リーブオン」と言います)化粧品への配合を禁止、洗い流しでも濃度をかなり低く抑えるように通知され、実質的な使用禁止と認識されています。

日本の場合は基本的に洗い流すものだけですが、例えばコンディショナーやヘアパックに配合されている場合、これらを長時間つけてから洗い流すようなことをすると、危険度は増すと思われます(以前ご説明したディープトリートメントなどにはオススメしません)。

また、二つのうちの「メチルイソチアゾリノン」は低濃度ですが、一部のスキンケア(リーブオン製品)への使用も認められています。これは、本当に使わないでいただきたいなと思うのですが。

海外の接触皮膚炎などを専門とした医学雑誌であるContact Dermatitisの2019年6号掲載ですが、それによると「スライム」を自作するのに、液体洗剤などを使用したら、それの中にメチルクロロイソチアゾリノンが入っており、これを長時間触っていたらアレルギーになってしまった、というもの。

洗剤なので、本来は長期的に触れることのないものですが、こうした使い方をすると十分に「長期接触」の恐れはあり、これによってトラブルが発生することもあるのだよと。世の中、何が起こるかわかったもんじゃ無いなと。

こうしたことを考えると、たとえ洗い流す製品だとはいえ、やはり使わないに越したことはないのではないかなと思うわけです。

メチルクロロイソチアゾリノンは、特にアミノ酸系のシャンプー類で使用されることが多くなっています。

アミノ酸系のシャンプーは微生物に弱く、強い防腐効果を求められる上、洗浄成分の原価が高いのでコスト削減のために使用されることが多いのだそうです。

まあ、昔からこの世界にいる人は、決して使いませんけどね。

今回、内容が内容なので、どの製品が、ということは差し控えますが、特にお子さんのいらっしゃる方は、化粧品だけでなく、洗剤などについても、もう一度確認して、避けるようにしていただくことをオススメします。

子供は皮膚が薄く、アレルギー感作が生じやすいことが知られています(あまり正確な表現じゃなくてすみません)。

同様に、皮膚バリア機能が低下している乾燥肌のかたや、もともと肌荒れしやすい敏感肌やアトピーの方は、絶対に避けるべきかなと。

接触性皮膚炎の既往歴がある方(一般的には敏感肌と分類されますが)も、避けるべき成分かと思います。

ちょっと字は細かいと思いますが、製品の裏表示を見れば避けられることなので、注意していただきたいなと思うわけです。

ちなみに、ものすごく皮肉な話で、Dermatitisという、これまた医学専門誌が、今年になってパラベンは安全だ、という論文を載せていて、日本は遅れているのかなあと思ったり。

実際、パラベンのアレルギーって、本当に少ないですからね(ゼロでは無いのが難しいところですが)。

このブログを読んでくださっている方には、正しく安全な製品を選んでいただきたいなと思うのです。


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