油(脂)の酸化について【2】
前回は、油の酸化について以下の4つの観点から説明させていただきました。
・油が酸化する条件とは?
・どの油が酸化するのか?
・酸化すると何が問題なのか?
・酸化された油によって引き起こされる問題とは?
2項目で終わっていたということで、油が酸化したら何が問題か、というお話と、酸化された油が何を引き起こすか、をまとめてお話しします。
先日の説明で、油は二重結合が構造中にあると酸化されるというお話をしました。基本的には、ここに酸素がくっついて、別の物質に変化することを「酸化」と言います。わかりやすいですね。
実際には、一口に酸化と言っても、様々な反応があります。基本的には、上記の通りですが、酸化反応によって結合そのものが切れてしまい、活性な物質に変わるということもあります。活性、という言葉でピンときた人は、かなりの美容通と言えるかも。そう、活性酸素的なことをやらかしてしまうのです。
あまり科学的に正確ではないかもしれませんが、油の酸化による変化では、以下のような4つのキーワードで考えるとまとまりやすいかと。ものすごく失礼を承知で言わせていただきますが、このあたりは化学か薬学を専門に勉強した人以外には、全くわからない言葉かもしれませんが、まあ、耳の中を通すだけでも、今後どっかで聞くかもしれないから、ということで、書いておきます。
さて、油の酸化には、以下の4つの変化が考えられます。
・重合
・酸化
・過酸化
・ラジカル開裂
このうち、重合は、液体だった油がゴムのようになってしまう現象が代表的で、そこまで肌への影響は無いかもしれません。油では無いですが、製品によっては、そういう作用を利用した製品もあります。原料は違いますが、ジェルネイルを考えていただければわかりやすいかも。あれは、紫外線によるプラスチックの重合反応ですが、そういったことが油でも生じることがあります。製品そのものの安定性なんかで問題になることですが、皮膚への影響という点では、あまり考えなくてもいいのかも。ああ、でも毛穴の詰まりの原因の一つに、油の酸化重合による固形化が影響ありという話もあったので、割と関係あるのかも。なにせ、酸化は防いだ方がよいのです。
さて、気にしたいのは、後半2つの「過酸化」と「ラジカル開裂」。この二つは明確に活性酸素と同じような作用を行います。その作用範囲は広く、肌の炎症、にきび、しわ、シミの原因として、また、最近では脱毛症の原因としての指摘もあります。
化学や薬学を学ばれた方なら過酸化脂質という言葉は聞かれたことがあると思います。油分が過剰に酸化された状態を指しますが、いろんな形態はあれど、とにかくこれの活性が高いのが問題ということだけ認識していれば良いのでは無いかなと。一般に、油の酸化を問題視する場合、これを念頭に置いて討議される場合がほとんどかと思います。
何せ過酸化脂質に関する報告はたくさんあります。もともと、皮膚に炎症を引き起こす作用の話がメインだったのですが、最近(というか2〜3年前)の報文では、確かライオンさんが言われていたと思うのですが、薄毛の原因の一つとして、頭皮の過酸化脂質による毛髪アポトーシスの促進というものが言われていて、そうきたか、と驚いたものです。それまで、頭皮の脂質と抜け毛の関係性は、経験則的には言われていました。確か90年代だったと記憶していますが、当時言われていたのは、脂質が毛穴に詰まると、そこで重合し、毛穴を防ぐため、毛が生えてこれなくなる、というものでしたが、その後、このメカニズムには否定的な意見が多くなり、最近は見なくなったなあと思っていたのですが、それでも、脂質の量と抜け毛には関係があると思われていたのです。この辺りは、改めて、薄毛関連のお話をする際に、きちんとしましょう。
今は、油の話を。
まあ、そんなわけで、過酸化脂質は非常にいろんな影響力を持っているわけですが、それよりも怖いのが、ラジカル開裂というやつで、これは主に紫外線なんかで生じると思いますが、そうじゃ無いメカニズムもあるらしく、また活性酸素との関係性を示唆したものもあったりして。
ラジカルというのは、ものすごく活性の高い分子状態、というもので、オゾンホールの生成原理を説明する際に、かなり細かい説明がなされていたのを記憶していますが、まあ、一般には馴染みがないですね。とにかく、肌にとって、というか、体にとって、非常に危険なものだということだけ、記憶の片隅に置いて置いてくだされば。
とまあ、そんなこんなで、だんだん散漫になってきた感があるので、この辺で、一旦話を締めたいと思います。
とにかく
不飽和脂肪酸とか酸化される余地のある構造をもつ油分には、注意が必要だということです。特に、にきびを気にしている人には、絶対に。それだけが原因出ないのがニキビの難しいところなので、一括りにはしませんが(ニキビについても、また改めて詳しく)、何はともあれ、避けるべし、というのは本当に。なんだか散漫ですみません。
個人的には天然オイル成分は、好きなんですけどね。こうしたリスクについて、ほとんど考えることなく使われていることには、ちょっと気になってしまうのです。あと、繰り返してしまいますが、ニキビを気にしている人のクレンジングの原料などには。日中ケア製品も要注意ですし。ああ、言い出すと切りがないよぅ・・・
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